消費者と金融業者がお金の貸し借りをする際、両者は必ず金銭賃借消費契約を締結しなければなりません。
契約書には融資条件として貸付利息が記載されており、お金を借りた側は借りたお金に上乗せして金利を支
払う必要があります。
貸付利息については各金融業者毎に相違しますが、法律で規制された上限金利以内で融資をすることが
義務付けられており、それ以上の利息をとった場合は、業者に厳しい罰則が科せられることになります。
消費者金融などの貸金業者がお金を貸し出す際の上限金利を規制する法律が、利息制限法と出資法です。
利息制限法では1954年に施行された法改正により、以下のような上限金利が設定されています。
上記の数値を見ても分かるように、現在規制されている上限金利と同じです。つまり、昭和29年にはす
でに現在と同じ水準の上限金利が設けられていたわけです。
にもかかわらず、利息制限法で定められた上限金利よりも、はるかに高い金利がとられていたのはどうい
うわけでしょうか?それはもう一つの規制法である出資法にあります。
出資法で定められた上限金利は利息制限法よりも高く設定されていたからで、金融業者はこの出資法の金
利を利用していたわけです。
出資法の上限金利は今でこそ利息制限法と同一になっていますが、それは2010年の改正法以降のこと
で、それまでは以下のような時代推移で改正が実行されてきました。
上記の上限金利を見てのとおり、現在の水準からしてみれば考えられないような高利になっています。
利息制限法で定められた規則では、上限金利を超えた利息は無効になりますが、これは民事上の効力を定めた
法律であって、この規制法に反したからといって刑事罰が科せられることはありません。
一方で出資法は、規制された上限金利を超えて貸し出した場合は、懲役か罰金という重い刑事罰が科せられる
こととなります。
さらに、出資法に反した金利での融資は無効となることから、金銭賃借消費契約が破棄されることとなります。
以上のことから、消費者金融業者は厳しい処罰のある出資法の上限金利を守っている傍らで、処罰のない利息
制限法の上限金利には違反していたということです。